2021年8月  
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ユリスオンラインの特徴

[INDEX]
1)誕生とその信頼性
2)データ内容の概観
3)検索システムの特色
4)法令データの特色
5)裁判例データの特色
6)文献情報(抄録)データの特色
7)雑誌全文データの特色
8)民法典コメンタールの特色
9)ドイツ法律ポータル(官報と議会資料)の特色
10)普及状況

1)JURIS Onlineの誕生とその信頼性

JURIS Onlineは、ドイツ国内でもっとも定評ある法情報データベースです。収録内容は、連邦とラント(州)の法令全文、戦後(全部)と戦前(一部)の裁判例全文、750以上の逐次刊行物から論文抄録又は文献目次、限定した全文テキスト誌、ユリス民法典コメンタール、ドイツ連邦官報全体と連邦の議会全印刷資料、およびEU法判例全文等です。
1973年の閣議決定にもとづきドイツ司法省は国内法情報の構築を開始しました。それが1985年のjuris GmbH ユリス有限会社設立を経て、これまで政府補助のもとでドイツ全国の「準公式」法情報として運営されてきました。ユリス社は現在でも、連邦政府による出資額が半分以上を占めています。
従って、商業出版社と違い、信頼性と同時に社会的権威をもつものであり、そのことは司法省のホームページで「共同プロジェクト」という表現がとられていることからも明らかです。さらに、ザールランド大学をはじめとする研究組織との共同、また司法省や各最高裁判所文書部との協力によって、ユリスオンラインのデジタル版テキスト作りが行われています。

1989年に東西ドイツが統一され、1993
年にはマーストリヒト条約に基づいてEU(欧州連合)が発足しました。2004年5月1日には欧州連合加盟国が25ヵ国に、ついで2007年1月1日、27ヵ国へと拡大されました。2013年7月1日よりクロアチアが加盟して28ヵ国ですが、経済力の弱い、「南方問題」をどう乗り切るかが依然として大きな問題です。
2016年6月23日の国民投票によってEUからの離脱を決定した英国は、ジョンソン首相のもとで総選挙を実施してようやく2020年1月31日にEUとの離脱協定を締結させました。EU加盟国数は27ヵ国となりました。
ドイツのメルケル首相は、歴史的反省から中東の紛争国から移民・難民を積極的に受入れてきましたが、現政権に対する政治的抗議の極右運動が活発化し、地方議会選挙で後退しました。
フランスでは、2017年5月の大統領選挙と6月の下院選挙において、欧州連合を支持する政治態勢が確立しましたが、同時にマクロン大統領への批判運動も起きました。

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2)JURIS Onlineデータ内容の概観

ユリスオンラインの収録内容は、もっとも流布している英米法の法情報データベース、たとえばLexis-Nexis, West Law Next と比較すれば、ユリスオンラインがドイツ法のあらゆる分野の法令、裁判例、網羅的な法律文献情報と雑誌論文情報を範囲としている点では類似しています。また、ドイツだけでなく、 密接な関係の欧州連合の法判例情報もカバーします。
基本としては戦後の法情報ということになりますが、「ライヒ最高裁判所民事部+刑事部公撰判例集」(全172+77巻)、および「ライヒ財政裁判所判例集」(全54巻)も
完備されました。さらにユリス社製の民法典プラクシスコメンタール(第1版-第8版を累積)や、立法過程の研究に必須となる「連邦官報」及び「連邦の議会全印刷物・議事速記録」が新たに標準装備されました。これらは法判例や雑誌論文と比べて膨大な量の全文フルテキストを有するのですが、瞬時に横断検索が可能です。
ユリスオンラインでは、基本的に商業出版社が発行する雑誌や新聞の全文テキストを読むことはできません。理由は各出版社が著作権を保持しているためでユリス社からの提供は抄録となります。
ただし最近ではコアな出版社から全文テキストのライセンス提供を受け、オプション契約でユリスオンライン本体と一緒に全文情報を利用することができます。

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3)JURIS Online検索システムの特色

検索のためのトップ画面は斬新なスタイルです。雑誌論文出典情報リンク、裁判例の適用法令リンクと審級関係リンク、判決と判例集・雑誌論文等の引用・被引用(参照)情報リンク、ドイツ法令とEU指令とのリンクは、多くが全文テキストに直結しますから効率的です。法律用語や法律条文、キーワード入力では利用頻度の順に候補語や熟語が表示され、ウムラウト入力が不要です。日付入力も柔軟で、派生語や類似語も自動的に呼び出します。
検索結果は法分野別に自動分類されるので、無関係なヒット結果を排除できます。しかもマウスクリックだけで簡単です。画面表示も3種類に切り替えられるので携帯端末にも対応します。また結果リストのタイトル表示は、フルと簡易に変更できます。プリント資料がある場合は該当の巻数・頁数も表示されるため、出典資料の確認作業にも役立ちます。この様にユリスオンラインの検索・操作技術は常に先進的です。

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4)JURIS Online法令データの特色

ユリスオンライン法令データの際立った点としては、連邦法の過去法条テキストが発効日と失効日の情報とともに、条文単位に管理されていることです。検索項目に過去のある日付を入れて検索すれば、その日に有効な条文だけを瞬時に取り出します。もはや加除式法令やプリント改定版、更新CDは必要ありません。
また、連邦法令条文の改正履歴が一覧表で提供されます。
ドイツ連邦法とは別に、ラント(全16州)法を備えています。教育法や環境法、情報公開法、宗教分野などでは各ラント議会が独自に立法します。したがって研究分野によっては不可欠な重要資料となります。
ユリスオンライン法令データには、立法主体の異なる省庁(一部)の発行する「行政命令」も含まれます。
法令名を検索するフィールドに用語を入力すると、それを含む法令名を重要なものから順に表示します。クリックすれば法律略称を自動入力してくれるため、不十分な情報でも正確な検索実行が可能です。
個別条文に関連する法情報としては、関係する法令情報、適用した裁判例、引用した研究論文や評釈、コメンタール(現在は民法典)等が提供されます。

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5)JURIS Online裁判例データの特色

裁判例全文テキストについて、ユリスオンラインデータは他のどの商業出版社による判例集と比べても、網羅的で徹底しています。ユリス社は判決の本文テキストを最高裁判所の文書部から直接入手しています。
ユリスオンラインデータはすべての事件を収録し、テキストを部分掲載することがありません。戦後ドイツの各最高裁判所公式判例集を出版しているのは4つの会社ですが(Carl Heymenns, Mohr, Vlg. Recht u. Wirtschaft, Stollfuss) 、プリント版に収録した裁判例の件数で調べてみると、憲法裁判所でも半分以下、その他はユリスオンラインの2割以下しか収録されていない。しかも、印刷物のテキスト本文内には「省略」箇所も少なからず見受けられます。
今後はユリスオンラインデータで第一次情報を入手し、データアクセス日時を記述した各国の研究者が引用(参照)することが一般化します。 異本の多い印刷物の頁数・行数表示よりも、Randnummer: Rn(オリジナルテキストの文節ごとに脇に与えた連続番号)記載の方が合理的です。
ユリスオンラインデータの関連情報は大いに役立つものです。判決・決定の全文テキストには数多くの法令条文・裁判例・雑誌論文が引用されますので、ユリスオンラインが収録する情報にすべてリンクが張られます。当該判決および決定の引用・被引用情報がリスト化され、審級関係にある裁判例の情報も明示されます。また、被引用雑誌論文のリストには要約のみと本文テキストの違いを表示します。

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6)JURIS Online文献情報(抄録)データの特色

これはユリスオンライン検索メニューのZeitschriften→Literaturnachweise の中に管理され、 ドイツ法律専門誌など定期刊行物の約750点のタイトルから、日々チェックした書誌と要約情報を追加しています。最新の研究情報だけでなく、包括的で重層的な研究情報が手に入ります。
ユリスオンラインがデータベース内に関連リンクを書き加えるときの出典資料名は明示されています。雑誌等の定期刊行物の情報を得る時のソース資料一覧、および裁判例の情報を得る時のソース資料一覧をご覧になれば、研究上の信頼性と網羅性に確信がもてます。勿論これらは実定法研究に限られ、各記事すべてに必要なデータ(この場合は条文・裁判例・専門用語)が存在するとは言えないので、TOC目次一覧表の代用にはなりません。
ユリスオンラインは単純な文献情報のデータベース(書誌情報のみ)と違って、雑誌記事の抄録と書籍目次を作成しています。もしごく限定した定期刊行物を検証し、ごく代表的な出版社を拾うだけならば、とても研究者の役には立ちません。やはり対象を広範囲に広げ、しかも網羅的に情報探索した成果が含まれているからこそ、研究者を支援する文献情報データベースになります。

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7)JURIS Online雑誌全文データの特色

雑誌全文テキストは、ユリスオンライン検索メニューのZeitschriften(Volltexte) の中に管理されています。
最近の重要判例を注解した「ユリスプラクシスレポート」がたいへん役に立ちます。これはユリス社が定期発行するオンライン雑誌ですが、現在25分野ごとに発行され、研究対象の主要事件を余すところなく拾いだすことが出来ます。研究者は半年毎、毎月、隔週、毎週という頻度でご自身の研究分野にかかわる事件とその解説をチェックすることができます。
また裁判所の「プレスリリース」は、もっとも早く世間が注目する事件についてお知らせします。ユリスオンラインの検索メニューの最下段にあるWeitere Kategorien→Nachrichten フォルダにはこの情報が蓄積されています。

ユリスオンラインには上記以外に、BBなど若干の商業出版社発行の雑誌全文テキストを収録しています。現在の収録記事・論文数は25万件です。各論文・記事の本文テキスト内には引用された法令条文・裁判例・雑誌記事・コメンタールとともに、注記部分で文献参照した法情報にも、ユリスオンラインに収録中の情報がそれぞれリンクされています。
最近、別売オプションとして、全文テキスト資料「ユリス追加パッケージ」juris ZusatzModul を発売しました。この中には、ユリス社と安定した提携関係をもつ商業出版社が発行する雑誌73点とコメンタール170点以上、及びハンドブック320点以上を収集しています。雑誌情報についてはコアな雑誌を集めており、収録記事・論文数として45万件を収録中ですが、今後は安定的に拡大して行くと思われます。(タイトルリストはお問合せ下さい。)

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8)JURIS Online民法典コメンタールの特色

コメンタール全文テキストは、ユリスオンライン検索メニューのKommentarの中に収録されています。
ユリス社が刊行する数少ない書籍として、「ドイツ民法典コメンタール」は2002年に創刊され現在まで9版(全6巻8冊)を数えました。オンライン版も9版が進行中で、 2018年より全ての契約校に標準装備されました。収録論文数は3,300件以上となります。研究者にとって、新版で書き換えられたテキストを手早く知ることが重要です。そのためユリスオンラインは、改定された段落ごとに日付を記入して収録します。また更新部分だけを取りだして読む場合の「更新」ボタンAktualisierung を備えています。

ドイツ民法典の最高峰は、言うまでもなく「シュタウディンガー民法典大コメンタール」Staudinger Großkommentar zum BGB です。現物は120巻ものコメンタールですが、追加オプションとして契約できます。現在の収録論文数は55,000を数えます。2015年にユリス社が独占販売権を取得して以後、逐次書籍版が更新発行されるたびに旧ファイルを20,000件「累積」Archiv しています(第2編の債権・債務法だけで9,000件)。小社は2ヵ月程度の間隔でお客様に改定情報(書籍とオンラインを比較対照)を伝えています。

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9)JURIS Onlineドイツ法律ポータル(官報と議会資料)の特色

連邦議会で法案が可決されると連邦大統領の認証・署名を受けて正式な法律になります。正文テキストが「連邦官報」に掲載されると、あとはそれぞれの法律による発効日を待ちます。官報には法律原文とともに成立経過など関連する情報が載ります。ドイツ連邦は市民向けサービスとして、創刊年から現在までを無料で公開していますが、これは閲覧だけの許可です。有料サービスで印刷保存が可能となります。

ドイツ連邦の立法機関は二院制を採用しています。衆議院にあたるのが「連邦議会」Bundestag、参議院が「連邦参議院」(連邦参議会)Bundesratです。日本と違い「連邦参議院」議員は直接選挙でなく、ラント州政府の代表が構成員となります。二院には権限の違いがあります。それぞれが各種委員会を運営し各種法案の審議や予算決算の議論を行います。本会議Plenar が最終決定の場です。政府提案や政党提案、委員会推薦文書、ラントからの申立て、本会議提出議案、連邦参議院の意見、議員質問などが徹底的に速記録として文書保存されます。そして印刷物Drucksachen として刊行します。このすべての資料には会期ごとの連続番号が入ります。
連邦官報も議会資料も、いち早くオンライン版としてeDrucksachen 掲載されて、ユリスオンラインの「法律ポータル」の中に収録されます。表題からの検索とともに全文テキストからも調査が可能となりました。立法過程が審議履歴と議事日程から整理され、各段階で使用された資料を体系的に調査することが出来ます。

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10)JURIS Onlineデータの普及状況

ドイツ国内でユリスデータを利用するのは、裁判所や司法省などの役所、弁護士事務所、会計事務所、それに大学や研究所、法律図書館、また大学などの教育機関では、広く法学教育の一環としても活用されております。
現在、日本の法人契約は大学・大学院・ロースクール、および国会図書館と財団法人で承っております。省庁や司法機関、立法機関との契約はまだありません。1年ごとの契約期間(年度単位)となりますが、いくつかの契約ライセンスに分けて対応します。
小社は創業以来、ユリス社との連携強化に努めて参りました。国内総代理店として、これまでアクセス時間制限の緩和と撤廃に力を尽くしてきました。また、利用者から直接の電話、メール等での問合せに迅速に対応して参りました。また、個人専用アカウントの登録と削除、利用統計の取得、各種ガイドの作成や利用者向けの「利用マニュアル」を提供しております。
小社HP上では、ユリス社から小社に通知される月刊ニュースを和訳して契約ユーザーに限定して提供しています。それによりドイツ国内で話題となっている最近の法令や判決・決定に関する専門情報をご覧いただけます。
さらに、契約校には重要なオプションデータを無料トライアルを提供致します。

ご要請があればいつでも法人トライアルを提供致します。またユリスあるいはベックオンラインの契約校向けに利用講習会を無料開催しております。

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